採用面接の質問、AIに作らせたらこうなった

AI活用

「あなたの長所と短所は?」「志望動機を教えてください」。 お決まりの質問がならぶ採用面接は、もう過去のものになるかもしれません。

いま、ChatGPTやGeminiといった「生成AI」が、採用面接の質問まで作れるようになっています。 AIが作った質問は、ときに鋭く、ときにユニーク。 まるでベテラン面接官が考えたかのようです。

この記事では、AIがどうやって面接の質問を作るのか、その仕組みから、人事担当者が知っておきたい上手な使い方、そして思わぬ落とし穴まで。 文系社会人のあなたにも分かるように、やさしく解説します。

AIが面接の質問を作るって、どういうこと?

AIが面接の質問を考えるなんて、まるでSF映画のようですよね。 でも、仕組みは意外とシンプルです。

生成AIは、インターネット上にあるたくさんの文章や書籍を「読んで」学習した、とても物知りなAIです。 身近な例でいうと、まるで世界中の料理レシピをぜんぶ暗記しているシェフのようなもの。 どんな食材(テーマ)を渡しても、最高の料理(文章)を作ってくれます。

採用面接でいえば、AIに「IT企業の営業職に必要な能力を知りたい」とお願いすると、学習したデータの中から「IT企業の営業職」や「面接の質問」に関する情報を集めて、最適な質問を考えてくれるのです。 代表的なAIには、チャットで有名な「ChatGPT」や、Googleが開発した「Gemini」、イーロン・マスク氏が率いるxAIの「Grok」などがあります。 これらを使うと、数秒で何十個もの質問リストを手に入れることができます。

ここがポイント: 生成AIは、膨大な知識を活かして、テーマに合った最適な面接質問を考えてくれる賢いシェフのような存在です。

明るい部屋で、かわいいロボットが人間の応募者に採用面接の質問をしている、シンプルで親しみやすいイラスト。

どんな質問が出てくる?AI謹製・面接質問リスト

では、実際にAIはどんな質問を作るのでしょうか。 試しに「新卒採用で、チームワークを大切にする人材を見抜くための質問」をAIに作らせてみました。

すると、次のような質問がずらりと並びます。

  • 「チームで何かを成し遂げた経験で、あなたの役割は何でしたか?具体的なエピソードを教えてください」
  • 「意見が対立したとき、あなたはどのように行動しますか?」
  • 「もしあなたが文房具だとしたら何ですか?その理由も、チームでの役割とからめて説明してください」

定番の質問から、少し考えさせるような変化球まで、バリエーションが豊かです。 最後の「文房具」の質問は、応募者の自己分析能力や、とっさの対応力を見るためのもの。 AIはただ質問を作るだけでなく、「なぜこの質問をするのか」という意図まで理解しているようです。

これらの質問は、面接官がゼロから考える手間をはぶいてくれます。 かかる時間は、人間なら数十分かかるところを、AIならたったの数十秒。 忙しい人事担当者にとっては、とても心強い味方です。

ここがポイント: AIは定番からユニークなものまで、意図を持った質の高い質問を短時間で大量に作成できます。

AIは人事の「賢いアシスタント」

AIが作った質問は、そのまま使うだけが能ではありません。 むしろ、人事担当者の「アシスタント」として使うことで、真価を発揮します。

たとえば、AIが作った質問リストを「たたき台」として、自社の文化や求める人物像に合わせてアレンジするのです。 これにより、質問の質を保ちながら、会社独自の視点を加えることができます。 まるで、有名レストランのレシピを参考に、家庭でオリジナル料理を作るような感覚です。

AIの活用は、面接の「質」の均一化にもつながります。 面接官によって質問がバラバラだと、応募者を公平に評価するのが難しくなりますよね。 AIが作った基本の質問リストを共有することで、誰が面接官でも一定水準の評価ができるようになります。 これは、お店の味がブレないように、セントラルキッチンでまとめてスープを作る仕組みに似ています。

AIに単純作業をまかせることで、面接官は応募者との対話や、人間性を見きわめるといった「人間にしかできない仕事」に、より多くの時間をさけるようになります。

ここがポイント: AIを質問作成のたたき台として活用し、人間はより本質的な業務に集中することで、採用の質が高まります。

AI面接の「落とし穴」と、賢い付き合い方

とても便利なAIですが、気をつけたい「落とし穴」もあります。 それは、AIが「偏見(バイアス)」を持ってしまう可能性があることです。

AIは、過去のデータを学習して答えを出します。 もし、過去のデータに偏りがあれば、AIの答えも偏ってしまうのです。 たとえば、過去の採用データで男性が多かった場合、AIは無意識に「男性が好みそうな質問」や「男性に有利な評価基準」を学習してしまうかもしれません。

このようなAIの偏見に気づかず、すべてを鵜呑みにするのは危険です。 大切なのは、AIが出した答えをうのみにせず、「これは本当に正しいのか?」と一度立ち止まって考える「批判的思考」です。

AIはあくまで道具。最終的な判断は、必ず人間が行う必要があります。 AIの提案を参考にしつつも、多様な視点を忘れずに、公平な採用を心がけることが重要です。 2024年の調査では、日本の企業のAI導入率はまだ20%前後というデータもあり、多くの企業が手探りで活用法を模索している段階です。だからこそ、慎重な姿勢が求められます。

ここがポイント: AIは過去のデータの偏りを学習してしまう危険があるため、人間によるチェックと批判的な視点が不可欠です。

人間と親しみやすいロボットが、オフィスで協力してパソコン画面を見ながら仕事をしている、明るい未来を感じさせるイラスト。

まとめ:AI時代こそ「あなたらしさ」が武器になる

AIに採用面接の質問を作らせることは、人事の仕事を効率化し、質を高める大きな可能性を秘めています。 しかし、それはあくまでサポート役。 応募者の隠れた情熱や、その人ならではの個性に気づき、心を動かされるのは、いつの時代も生身の人間の役割です。

AIを賢く使いこなし、人間ならではの強みを発揮する。 これからの採用担当者には、そんなバランス感覚が求められていくでしょう。 そして応募者にとっても、AIには見抜けない「あなたらしさ」を伝えることが、ますます重要になっていきます。

ここがポイント: AIを賢い道具として使いこなし、最終的には人間ならではの感性で判断することが、これからの採用のカタチです。

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