失敗は誰にでもあります。大切なのは、その後にどう行動するかではないでしょうか。
2025年6月、人気漫画『日常』の作者として知られる、あらゐけいいちさんが、まさにそのお手本のような対応を見せてくれました。
今回はAIの是非を一方的に問うのではなく、この一件から見えたクリエイターの誠実な姿勢と、私たちファンがどう向き合うべきかについて、一緒に考えていきたいと思います。
何が起きた?2025年6月のできごと
ことの始まりは、あらゐさんがYouTubeに公開した一本のPV(プロモーションビデオ)でした。その動画で使われていた音楽が、AIによって生成されたものだったのです。
すると、ファンや視聴者から多くの指摘が寄せられました。その中には「AI音楽は、既存のクリエイターの権利を侵害している可能性がある」「海外では大手レーベルがAI企業を訴える事態に発展している」といった、具体的な懸念点も含まれていました。
これに対して、あらゐさんは驚くほど迅速に行動します。
指摘を真摯に受け止め、ご自身の勉強不足を認めた上で、すぐに動画の公開を停止。「教えてくれた方、ありがとう!」と、指摘してくれた人たちへの感謝をX(旧Twitter)で述べたのです(2025年6月18日)。
ここがポイント: AI音楽の具体的な問題をファンから指摘され、即座に公開を停止し感謝を表明した。

この対応の「本当にすごい」ところ
この一連の流れで注目すべきは、AIが良いか悪いかという結論ではありません。あらゐさんが見せた「姿勢」そのものです。
すごい点は、大きく3つあります。
- 間違いをすぐに認める「素直さ」 自分の非を認め、すぐに行動に移すのは、大人になるほど難しいことです。あらゐさんは言い訳をせず、即座に公開停止という形で対応しました。
- 指摘への「感謝」 普通、間違いを指摘されると、気まずく感じてしまうもの。しかし、あらゐさんは指摘を「攻撃」ではなく「学びの機会」と捉え、感謝の言葉を伝えました。
- ファンと「対話」する姿勢 一方的に自分の考えを押し通すのではなく、ファンの声に耳を傾け、行動を変える。これは、ファンとの間に信頼関係を築く上で、とても大切なことです。
これはまるで、人気のレストランの店主が、お客さんから「この料理、食材の産地に問題があるかも」と教えられ、すぐに謝ってメニューを下げ、「教えてくれてありがとう!」と伝えるようなもの。その誠実な姿に、お客さんはかえってお店のファンになってしまいますよね。
ここがポイント: すごいのはAIの判断ではなく、間違いを認め、指摘に感謝し、ファンと対話する誠実な姿勢そのもの。
私たちは何を学ぶべきか
この一件は、クリエイターとファンの両方に、大切なことを教えてくれます。
もちろん、ファンからの声は一つではありませんでした。「クリエイターなのに残念」という厳しい意見や、「気にしなくていいのでは」という擁護の声など、様々な考え方が示されました。
大切なのは、こうした多様な意見が飛び交う中で、あらゐさんが「学ぶ姿勢」と「感謝」を示したことです。
クリエイターは、常に完璧である必要はありません。ChatGPTやGeminiのようなAI技術は日々進化しており、誰もが手探りの状態です。そんな中で大切なのは、ファンとの対話を恐れず、間違いを犯したら誠実に対応する姿勢です。
そしてファンである私たちは、クリエイターを一方的に責めるのではなく、敬意をもって建設的な意見を伝えることが重要です。愛があるからこその指摘が、クリエイターを育て、より良い作品作りにつながります。
ここがポイント: 様々な意見が交錯する中で、クリエイターは学ぶ姿勢を、ファンは敬意ある指摘を心がけることが大切。
まとめ:失敗から生まれた、より強い信頼
あらゐけいいちさんの今回の一件は、単なる「失敗談」ではありません。
むしろ、クリエイターの誠実な対応によって、ファンとの間にあった信頼関係が、より一層深まった「美しいエピソード」と言えるのではないでしょうか。
変化の速い時代だからこそ、時には立ち止まり、学び、対話する。その誠実な姿勢こそが、これからの創作活動において、もっとも価値のあるものなのかもしれません。
ここがポイント: 誠実な失敗は、クリエイターとファンの信頼をより強くする貴重な機会になりうる。